「スケルトン」「居ぬき」どっちがいいの?
貸店舗を貸す時、借りる時にまず気になる店舗内の状態。
「スケルトン」であるのか、または「居抜き」なのか。
実際に店舗を貸す際、または借りる際、「スケルトン」と「居抜き」のどちらの方が有利なのでしょうか。
借り手側の視点、貸し手側の視点で、それぞれのメリット・デメリットをみてみましょう。
そもそも「スケルトン」「居抜き」とは
「スケルトン」とは、床や壁、天井、配管等がむき出しの状態を言います。
物件によっては、ガス管や水道管などの配管もなく、ただのコンクリートの箱状態である場合もあります。
一方、前テナントが造作した内装や、エアコンや照明器具なのど設備、什器等が残っている状態のことを「居抜き」と言います。
「厨房設備や造作した内装、テーブルやイスなど備品などをそっくりまとめて居抜きとして譲ります。」という場合もあれば、厨房などは撤去して無い状態で、店内の造作やトイレなどが残っているという居抜きの場合もあります。
そして残っている設備や造作などを「●●円で譲渡します。」という場合と、「無償で譲ります。」という場合も。
前テナントがどこまでを残したい、譲りたい、と考えるかによって居抜きの状態や譲渡価格はさまざま。
借り手側から見たメリット&デメリット
スケルトン
テナントがスケルトンで借りる場合、貸店舗内には何も無い状態。
ゼロからの工事となるため、自由度が高く自分のイメージ通りの店舗を作り上げることが出来ます。
また必要なことは事前に予測でき、計画的に出店準備を進めていけることもメリットです。
しかし工事のプランニングから実際の施工期間で工事期間は長期になります。
工事期間の数ヶ月間、オープンするまで売上のない状態でも賃料の支払いは発生。
ゼロから作るという高額な工事代と、工事期間の賃料で初期投資額が大きくなります。
ちなみに、経済の好調期はスケルトンに人気が集まります。
居抜き
居抜きの良さは何より工事費用を抑えられる点です。
また工事期間が短く早期にオープンを迎えられるため、利益を早く生み出すことが可能になります。
しかし、内装設備が出店業態と合っていないため使えない、あるいは経年により使える状態ではなかったために解体・廃棄または新規購入等と予想外の出費をこうむる場合も少なくありません。
居抜きは低予算でスタートできる点で人気があります。
経済の低迷期は特にその傾向は強くなりますが、譲り受けた設備の状態が不安定で保証もないため、リスクも常に伴っています。
貸し手側のメリット&デメリット
スケルトン
スケルトンの場合、資金力があり事業計画がしっかりとした借り手が店舗をオープンしてくれるでしょう。
フランチャイズなどで店舗イメージが完成している大手法人などは、既存設備は逆に不要であるため、スケルトンは喜ばれる仕様となります。
また『スケルトン渡し・スケルトン返し』という単純明快な契約を結ぶことにより、退去時の明渡しや解約精算がスムーズに完了する点はメリットです。
半面、スケルトンへの出店は借主側が大きな資本投下を行うこととなるため、大手法人は出店の決定までに時間がかかります。
個人の出店希望者の方も、準備した資金とは別に融資が必要となる場合は、融資を受けるための期間を要します。
駅前など、人通りが多く集客がみこめる好立地の物件をのぞき、通常スケルトンへの出店は即断即決とはならず、契約締結までの空室期間は長期化する傾向にあります。
居抜き
居抜きの場合、前テナントと出店を希望するテナントの業種・業態がマッチすると即または比較的早期に契約がまとまります。
しかし、入居直後の発生した譲渡設備の不具合や、退去時の明渡しに関するトラブルが生じやすいので注意が必要です。
それを避けるためには、どこまでを残し何を引き渡すのか、その線引きを慎重に行わなければなりません。
借り手側との交渉も生じますので、契約は複雑になります。
しかし入居したらいつか退去する時はやってきます。
いつか退去するその時のためにしっかり取り決めを行い、その内容を書面に残しておくことをおすすめ致します。
貸す際の優先事項はなにか
スケルトンか居抜きか、両者それぞれにメリット・デメリットがあります。
店舗を貸す際に何を一番に重視するか優先事項・優先順位をご検討ください。
業種・業態か、テナントの質か、あるいは空室期間を短期におさえることを最優先とするのか。
そして優先事項をもとに、どのようなテナントの出店を希望されているのか、依頼する不動産業者へ相談してみてください。
貸店舗に精通した不動産業者であれば、ご希望通りに誘致できそうであるかどうか予想がつくと思います。
ご希望のテナントの出店の可能性はあまり高くはない場合でも、それが最優先だとオーナーの意思がハッキリしていれば、そのテナントの誘致を目指してガイドします。
もしそれが、あくまでも希望であり、優先順位内であれば変更が可能であれば、その旨を示してみてください。
物件の立地・状況・現状をかんがみ、経済動向とテナントニーズを照らし合わせて、この貸店舗であればこんな貸し方はどうかと、時流に合わせた提案をしてくれるものと思います。